耳がわいたかもしれない、と感じた最初の違和感
最初は本当に小さな違和感でした。柔術の練習が終わって家に帰るころ、片耳だけじんわり熱を持っていて、触ると少し痛い。ぶつけた記憶はないのに、なんとなく耳の輪郭がぷっくりしている気がして、「あれ、これ何だろう」と鏡を見たのを覚えています。
その日は「擦れただけかな」と軽く考えていました。格闘技をやっていると、首や肩、ひじやひざの小さな痛みは日常茶飯事です。だから耳も同じようなものだろうと思っていたんです。ところが夜になると、横向きで寝たときに耳がじわっと痛む。翌朝には、触った感触が明らかに変わっていました。少し柔らかくふくらんでいて、いつもの耳とは違う。いわゆる「耳がわく」という状態に近かったのだと思います。
格闘技をしている人のあいだではよく聞く言葉ですが、実際に自分の耳に起きると、想像以上に不安になります。見た目の問題だけではなく、「これって放っておいて大丈夫なのか」「このまま固まったらどうなるのか」と、一気に気になり始めました。
耳がわくとは何か
「耳がわく」という言い方は俗っぽい表現ですが、一般的には練習や試合の接触、摩擦、圧迫によって耳が腫れてしまう状態を指して使われることが多いです。柔道、柔術、レスリング、ラグビーなど、耳が相手の体や道着、マットに何度もこすれる競技では起こりやすい印象があります。
自分の感覚としては、強く一発ぶつけたというより、細かい刺激が積み重なって起きる感じでした。スパーリングや組みの展開で、頭の位置を競り合う場面が続いた日ほど耳に違和感が残りやすかったです。とくに初心者のころは、姿勢や力の入れ方が安定していないので、余計に耳へ負担がかかっていたのかもしれません。
「餃子耳」という言葉を聞くことがありますが、あれは耳の形が変わってしまった状態を指して使われることが多いです。つまり、耳がわくこと自体は途中の段階で、そこでどうするかによって見た目の変化も変わってくる、という感覚に近いと思います。
私の体験では、最初のサインは“痛み”より“熱さ”だった
これから耳がわくかもしれないとき、私はまず熱感に気づきました。触ると少し熱い。赤くなっている。押すと痛いけれど、激痛ではない。だからこそ厄介でした。大したことがないように思えてしまうんです。
ただ、時間がたつと耳のやわらかい部分がふくらんできて、いつもより厚みが出たように感じました。何もしないでいると、今度は「痛い」というより「気になる」に変わっていきます。ヘッドホンやマスクのひもが触れるだけで意識がいくし、シャワーでお湯が当たると違和感がある。寝返りのたびに目が覚めるほどではないけれど、確実に生活の邪魔をする程度の不快感がありました。
周りの経験者に聞くと、「最初はみんなそんな感じだよ」と言われました。痛くて大騒ぎするケースもあるようですが、私の場合はじわじわ進むタイプだったので、余計に判断が遅れそうになりました。もし同じように「ちょっと腫れてるだけかも」と感じている人がいたら、その油断はかなり危ないと思います。自分もあのとき、もう少し早く行動していれば気持ちが楽だったはずです。
耳がわく原因は、強い一撃より“繰り返しの摩擦”を感じた
練習のあとで振り返ると、耳に違和感が出た日は共通点がありました。頭を押しつける場面が多かった日、相手と密着する展開が長かった日、道着や肩に耳が何度も擦れた日です。試合のような激しい接触だけでなく、普段の反復練習でも十分起こりうるんだと実感しました。
個人的に意外だったのは、強くぶつけた覚えがなくても腫れることです。だから「今日は大きなケガはしていないから大丈夫」とは言い切れません。むしろ、じわじわ蓄積した日のほうが、あとから耳に出ることがあるように感じました。
また、同じメニューをこなしていても、耳がわきやすい人とそうでもない人がいます。道場でもまったく耳の形が変わらない人がいる一方で、わりと早い段階で腫れやすい人もいました。体質や耳の形、練習スタイルなどいろいろ重なるのだと思いますが、自分は「自分は大丈夫な側ではない」と早めに認識したのが、その後の予防に役立ちました。
放っておくとどうなるのか、不安になって初めて本気で調べた
正直に言うと、耳がわき始めた最初の日は「そのうち引くかもしれない」と思っていました。でも、翌日になっても腫れが残っていて、触るとふにっとしている。そこで初めて「このまま固まったらまずいのでは」と焦りました。
実際、格闘技をやっている人の耳を見ると、明らかに厚くなっていたり、表面がごつごつしていたりすることがあります。競技者らしい勲章のように語られることもありますが、自分はそこまで割り切れませんでした。見た目ももちろん気になりますし、それ以上に、イヤホンが入りにくくなったり、日常生活で気になるレベルになったら困ると思ったんです。
それに、一度変わった耳の形は簡単には元に戻らない印象があります。周りでも「最初の一回を軽く見ないほうがいい」と言う人が多くて、その言葉はかなり現実味がありました。強がって放置するより、早めに状態を見てもらうほうが気持ちの面でもずっと楽です。
私が感じた受診の目安は、「迷った時点で早めに相談したほうがいい」ということ
自分の場合、耳の熱っぽさと腫れが翌日もはっきり残っていた時点で、「これは一回見てもらったほうがいいな」と考えました。触ると痛い、少し膨らんでいる、寝るときに気になる。この3つがそろったら、個人的には様子見で引っ張らないほうがいいと思っています。
もちろん、最終的な判断は医療機関に任せるべきですが、少なくとも自己判断で長く放置するのは不安が大きいです。とくに、腫れがやわらかい感じのうちは変化も早い印象がありました。時間がたつほど「今さら行っても遅いかも」という気持ちになりやすいので、そうなる前に相談したほうが落ち着きます。
私自身、受診するまではかなり気にしていましたが、専門家に状態を見てもらったことで、必要以上に怖がらなくて済みました。ネットの情報を見て一人で想像を膨らませるより、実際に相談したほうが早い。これは耳に限らず、本当にその通りだと思います。
練習を続けながら思った、予防の大切さ
一度耳の違和感を経験してからは、練習のしかたを少し見直しました。とくに意識したのは、耳に擦れる感覚が続いた日はそのままにしないことです。練習後に耳の状態を触って確認するだけでも、変化に気づきやすくなります。
それから、耳への負担が気になる時期は保護具を使う選択肢も現実的だと感じました。最初は少し大げさかなと思っていたのですが、一度不安を味わうと、予防のほうがずっと気楽です。練習を休みたくない人ほど、耳のケアは軽く見ないほうがいいと思います。
道場では「耳がわくのも競技のうち」と冗談っぽく言われることもあります。たしかにそういう文化はあるのかもしれません。でも、自分としては、必要以上に形を変えたいわけではありませんし、普段の生活で困るのも避けたい。その本音に素直になってからは、無理に我慢するより、早めに対処する意識のほうが自然になりました。
耳がわくのが怖い人へ伝えたいこと
これから柔道や柔術を始める人は、「耳がわく」と聞くと少し怖く感じるかもしれません。自分も最初は、経験者の耳を見てかなり身構えました。ただ、必要以上に怖がるよりも、どういうときに起こりやすいのか、どんな違和感が初期サインなのかを知っておくほうが大事です。
実際に体験してみて思うのは、突然すべてが変わるというより、「あれ、ちょっとおかしいかも」というサインが先に来ることが多いということです。熱い、痛い、少し腫れている、触るといつもと違う。その段階で耳を気にかけられるかどうかで、気持ちの余裕もかなり変わります。
耳がわくこと自体は、競技をしていれば珍しい話ではありません。でも、珍しくないからといって軽く扱っていいわけでもない。自分の体に起きた変化をちゃんと見ることが、結果的にはいちばん後悔しにくいと感じています。
まとめ
耳がわくというのは、格闘技や接触の多いスポーツをしている人にとって、決して遠い話ではありません。私自身も最初は「少し擦れただけ」と思っていましたが、耳の熱感や腫れ、横向きで寝たときの痛みをきっかけに、想像以上に気になるものだと知りました。
大切なのは、見た目が変わることだけを気にするのではなく、初期の違和感を見逃さないことです。少しでも「いつもの耳と違う」と感じたら、その感覚は案外当たっています。競技を長く楽しむためにも、耳の変化を軽く見ず、早めに状態を確認する意識を持っておくと安心です。
もし今まさに耳が熱い、痛い、腫れていると感じているなら、「そのうち引くだろう」と決めつけずに考えてみてください。自分の経験では、早く気づくほど気持ちにも余裕が持てました。耳がわくことを正しく知っておくだけで、不安はかなり減らせるはずです。



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